ワクチン・健康診断について

感染症から守るための毎日の予防が大切

日常生活の中で気づきにくい感染症のリスクは、動物たちだけでなく、ご家族にも影響を及ぼすことがあります。こうしたリスクを減らすためには、日々の小さな予防の積み重ねが大切です。寄生虫予防薬の定期使用や、狂犬病・混合ワクチンの接種がその代表例です。一度かかると治療が難しい病気もあるため、健康な今のうちから備えることが、ご家族全員の安心につながります。

予防接種・ワクチン

子犬や子猫は、どんなに元気でも免疫力が十分ではないため、思わぬ感染症にかかることがあります。計画的なワクチン接種を行うことで、万が一感染しても症状を軽く抑えられる可能性があります。混合ワクチンは、一度の接種で複数の感染症を防げるため、日々の安心につながります。接種のタイミングや回数は体調や生活環境によって異なるため、まずはお気軽にご相談ください。

ワクチン接種時の注意点

ワクチン接種のタイミングは、その子の体調や生活環境によっても左右されます。
たとえば、新しいお家に来た直後や引っ越し直後はストレスで免疫力が下がりやすいため、まずは落ち着いて過ごす期間を設けることが大切です。
体調が安定した頃に接種を行い、万が一の体調変化に備えて午前中の来院をおすすめします。便をお持ちいただければ、寄生虫の検査も同時に実施できます。

犬のワクチン

混合ワクチン

子犬は、パルボウイルスやジステンパーなど、命に関わる感染症のリスクにさらされやすい時期があります。
混合ワクチンは、こうした目に見えない危険から守るための大切な手段です。生後4〜9週で母犬から受け継いだ免疫が薄れるため、子犬自身の免疫力を高める目的で、初年度は3〜4週間間隔で3回接種します。その後は、2年目以降に年1回の追加接種を行うのが基本です。

  • 犬ジステンパー
  • 犬伝染性肝炎
  • 犬コロナウイルス感染症
  • 犬パラインフルエンザ
  • 犬アデノウイルス2型感染症
  • レプトスピラ感染症(カニコーラ株、イクテロヘモラジー株、グリッポチフォーサ株、ポモナ株)
  • 犬パルボウイルス感染症

狂犬病ワクチン

犬を飼う上で欠かせない責任のひとつが、年に一度の狂犬病予防接種です。
生後91日を過ぎたすべての犬に接種が法律で義務付けられています。狂犬病は犬だけでなく、人間を含むすべての哺乳動物に深刻な影響を及ぼす感染症です。
日本では長年発症例がありませんが、海外では依然として多くの命が失われており、油断はできません。

猫のワクチン

混合ワクチン

たとえ室内で過ごしていても、猫が感染症にかかるリスクはゼロではありません。混合ワクチンは生後9週から接種を始め、初年度は3〜4週間間隔で2回、その後は年に1回の追加接種が基本です。猫汎白血球減少症やヘルペスウイルス、カリシウイルスなど、重い症状を引き起こす病気から守るため、毎年欠かさず接種することが大切です。

※対象となる感染症には4種または5種ワクチンの接種が必要です。詳しくは獣医師にご相談ください。

  • 猫ウイルス性鼻気管炎
  • ※猫クラミジア感染症
  • 猫カリシウイルス感染症
  • ※猫白血病ウイルス感染症
  • 猫汎白血球減少症

Check

うさぎの予防について

日本で飼育されているうさぎは、海外のような定期ワクチン接種の習慣はありません。これは国内でうさぎ専用ワクチンが流通していないことや、対象となるウイルス感染症の発生例がないことが理由です。うさぎは基本的に室内飼育が推奨されますが、屋外でお散歩させる際には、定期的なノミ・ダニ予防が大切です。うさぎに使用できない薬剤もあるため、必ず動物病院で処方された安全な予防薬を使用してください。

フィラリア予防

蚊が媒介する幼虫によって発症するフィラリア症は、犬だけでなく猫にも深刻な影響を及ぼす寄生虫感染症です。体内に入った幼虫は心臓や肺へと移動し、重症化すると命にかかわることもあります。室内で過ごす猫でも、蚊の侵入を完全に防ぐのは難しく、咳や呼吸異常、急な体調変化など症状が出やすく診断が難しいのが特徴です。こうしたリスクから守るためには、定期的な予防薬の使用が最も確実な方法です。

主な症状

  • ごはんへの食いつきが落ちた
  • 散歩や遊びを嫌がるようになった
  • 安静にしていても息が荒い
  • お腹だけがふくらんでくる
  • 乾いた咳が出る など

予防方法

猫のフィラリア症は症状が出にくく、検査での診断も難しいため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。
しかし、月に1回の予防薬投与で確実に感染を防ぐことが可能です。予防薬は、蚊から感染した幼虫が心臓に到達する前に駆除する仕組みになっています。
基本的な予防期間は5月から12月頃ですが、地域や気候に応じて調整が必要です。

予防推奨時期
5月~12月末(予防シーズンの開始には、必ずフィラリア抗原検査を行ってから投与します)
投与の間隔
生活環境によっては、通年での投与が推奨される場合もあります。

ノミ・ダニ予防

動物たちの健康を守るうえで、ノミやマダニなどの外部寄生虫対策は欠かせません。これらの小さな虫は、激しいかゆみや皮膚炎を引き起こすだけでなく、重篤な感染症を運ぶリスクもあります。また、飼い主様の健康にも影響を及ぼす可能性があります。室内で過ごす猫やうさぎでも安心できません。ノミは一年中活動し、室内でも繁殖するため、季節を問わず継続的な予防が必要です。

主な症状

  • しきりに体をかく
  • 皮膚に小さなブツブツが出る
  • 赤いまだら模様ができる
  • 毛が部分的に抜ける
  • ぐったりして貧血ぎみになる
  • アレルギー性の皮膚炎を起こす など

ノミ・ダニの被害

ノミ

  • ノミアレルギー性皮膚炎

    ノミの唾液に反応して起こるアレルギー性皮膚疾患で、脱毛や湿疹、皮膚の硬化などの症状が現れます。一度発症すると、たった1匹のノミに刺されただけでも強い症状が出ることがあり、完治は難しい病気です。そのため、生涯にわたる管理が必要となりますが、何より重要なのは予防です。

  • 瓜実条虫(サナダムシ)

    グルーミングの際に感染したノミを飲み込むと、小腸で条虫が寄生することがあります。下痢や嘔吐、体重減少などの症状が出るほか、肛門周囲に米粒のような虫体が付着して発見されることもあります。

  • 貧血

    体の小さな子犬や子猫は、ノミに吸血されると貧血を引き起こすことがあります。成長への影響が懸念されるだけでなく、重症化すると命に関わる場合もあるため、早めの対策が重要です。

  • ヘモプラズマ症

    ヘモプラズマは猫の赤血球に感染する細菌で、感染すると赤血球が破壊されて重度の貧血を引き起こします。ほかに食欲不振や黄疸などの症状が現れ、重症化すると輸血が必要になる場合もあります。ノミを介して猫同士に感染が広がるため、多頭飼育の家庭では特に注意が必要です。

マダニ

  • SFTS(重症熱性血小板減少症)

    SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、マダニを介して感染する病気で、犬や猫もかかることがあります。発熱や元気・食欲の低下、嘔吐や下痢などが見られ、重症化する場合もあります。お散歩や外出後は体にダニが付いていないか確認し、気になる症状があれば早めに動物病院へご相談ください。

  • ライム病

    マダニが媒介するボレリア菌による感染症で、犬や猫に関節炎、発熱、食欲不振、神経症状などを引き起こします。治療が遅れると慢性化することもあります。また、人にも感染する人獣共通感染症であるため、野外で過ごすことが多いペットや飼い主様は特に注意が必要です。

ノミ・ダニの予防方法

ノミやマダニによる被害は、適切な予防薬を使うことでしっかり防ぐことができます。
当院では、動物たちの性格や生活スタイル、飼い主様の使いやすさに合わせて、最適な予防方法をご提案します。
予防薬は、おやつのように食べられる経口タイプのチュアブル錠や、首筋に垂らすだけのスポットオンタイプなどから選べ、どちらも通常は月1回のご使用で効果が得られます。また、3か月に1回の投与でノミ・マダニを長く予防できるタイプのお薬もあり、ライフスタイルに合わせて選べる選択肢が増えています。
フィラリア予防薬と併用することで、さらに幅広い寄生虫から大切な家族を守ることができます。予防を始める前には必ず検査を行い、安全性を確認してから開始しますので、安心してご相談ください。

Check

うさぎの予防について

日本で飼育されているうさぎは、海外のような定期ワクチン接種の習慣はありません。これは国内でうさぎ専用ワクチンが流通していないことや、対象となるウイルス感染症の発生例がないことが理由です。うさぎは基本的に室内飼育が推奨されますが、屋外でお散歩させる際には、定期的なノミ・ダニ予防が大切です。うさぎに使用できない薬剤もあるため、必ず動物病院で処方された安全な予防薬を使用してください。

健康診断

動物医療の進歩により、ペットの寿命は大きく伸びています。
その大きな理由のひとつが、定期的な健康診断による病気の早期発見・早期治療です。
症状がまだ現れていない段階で異常を見つけることで、より効果的な治療が可能になり、健康寿命をしっかり延ばすことができます。
大切な家族と過ごす時間を少しでも長くするために、健康診断は欠かせない予防医療です。

健康診断時の注意点

正確な検査結果を得るために、健康診断当日は朝食を抜いてご来院ください。
食事により血糖値や中性脂肪などの数値が変動するほか、超音波検査では胃の内容物が画像の妨げになることがあります。
水分は通常どおり与えていただいて問題ありません。

当院で可能な検査

  • 血液検査
  • 超音波検査
  • レントゲン検査
  • 糞便検査
  • ワクチン抗体検査
  • 眼科・皮膚検査
  • 尿検査 など

健康診断を受けるタイミング

犬と猫の健康診断を受けるタイミング

  • 0歳から6歳

    若いうちの健康診断には、「いつもの数値」を記録に残すという役割があります。
    体調を崩したときやシニア期に入ったとき、過去のデータがあれば変化を見比べられます。
    病気の早期発見にもつながるため、元気な時期こそ定期的な受診をお勧めします。

  • 7歳から10歳

    血液検査やエコー画像によって、初めて体内の異変が明らかになるケースが目立ち始めます。
    人間なら中年期から初老期へと差し掛かる時期ですから、外見は元気に見えても油断はできません。
    一度も健診を受けた経験がないのであれば、まずは現在の数値を確認してみませんか。
    現状を正しく把握できれば、先回りの対策を検討できます。

  • 11歳以上

    心臓病や腎不全、腫瘍といった加齢に伴う深刻なトラブルは、シニア期に入ると一気に現実味を帯びてきます。
    人間に換算すればかなりの高齢にあたるため、全身の状態をきめ細かく見守らなければなりません。
    体への負担を考慮しつつ、その子のペースに合わせた検査内容を組んでいきます。

うさぎの健康診断を受けるタイミング

  • 0歳から4歳

    体調のわずかな揺らぎを逃さないためには、健康な状態の数値を把握しておくことが欠かせません。
    若いうちから定期検診を重ねて「平常時」を知っておくことで、万が一の異変にもいち早く気づけるようになります。

  • 5歳以上

    人間よりもずっと早くシニア期が訪れるうさぎは、加齢とともに体調が不安定になりやすい性質を持っています。
    以前よりもこまめに今のコンディションを記録していく習慣が、飼い主様の安心感へとつながります。